木下斉著『まちづくり幻想』

補助金・コンサル頼み、成功事例の模倣ではいけない。地元が主体となって「稼ぐ」体制をつくり、地元に利益を還元する!

 

『まちづくり幻想 地域再生はなぜこれほど失敗するのか』(SB新書、2021年)

補助金がたくさんもらえたらすごく助かるし、人口が増えたら、集客力のある全国チェーン店ができたら地域は活性化するよねと単純に思い込んでいた私は、木下さんのこの本を読んで目からうろこが落ちました。

事業は潤沢な予算ありきで進めるのではなく、不足分を稼げるだけの優秀なチームを作ること(人事)が最優先である。

人口減少は日本全体で進んでいるのだから、もはや改善できるようなスケールは超えている。人口が少ないからだめなのではなく、現在の人口のスケールに合わせた経済発展が重要だということです。

無印良品やユニクロといった需要の多いメーカーは、地域にとっては非常にありがたいものですが、チェーン店のほとんどは本社が大都市(特に東京)にあり、最終的に儲けは本社に還流していって地元には残らない。だから地方に拠点をおく企業やお店が繁盛し、きちんと地元にお金が落ちる仕組みを構築しなければなりません。表面だけを見るのではなく、事業の仕組みをきちんと理解することの大切さを学びました。

ひとくちに地域といっても千差万別です。地域のことを最もよく知る地元の人が主導し、未来に向けて小さな一歩を踏み出す。そこから徐々に周囲や地域外の人を巻き込み、大きなうねりに育てていく。そうして、規模は小さいながらも、みごとに活性化に成功した国内外の地域の事例が紹介されています。

また、最近メディアでも取り上げられるようになった、若い女性の都会への流出。地域にいまだ性差への偏見が根強くあり、魅力ある仕事や一人暮らしできる物件が少ない。しかし、仕事内容の見直しやオフィス環境の改善につとめた企業には若い女性の応募が殺到しました。問題は「地方だから」ではなく、企業側と若い女性のミスマッチにあったのです。

ちなみにこの本は台湾、韓国で翻訳出版されています。さらに深圳、上海でも、中国本土では翻訳されていないはずの同書が読まれているそうで、読んだ方は、台湾に旅行に行ったときに購入してきたとのことです。大都市への一極集中・地方の過疎化は日本だけの問題ではないのです。

 

ユニクロ創業者の柳井正さんは山口県の出身であり、同社の本社は現在も山口県山口市佐山にあります。