猪谷千香著『町の未来をこの手でつくる』

岩手県は紫波町、JR紫波中央駅から徒歩2分のところに「オガール」という官民連携の複合施設があります。商業スペース、日本初のバレーボール専用コート、図書館、病院、保育園、宿泊施設などが揃い、紫波町役場も入っています。

 

『町の未来をこの手でつくる―紫波町オガールプロジェクト』(幻冬舎、2016年)

もともと全国の公共図書館を取材していた著者の猪谷千香さんが紫波町図書館も取材することになり、その過程でオガールを知り、そこに集う人々の楽しそうな人たちに惹かれて取材した内容です。

オガールという名前は、「成長する」を意味する紫波の方言「おがる」と、フランス語の「駅」を意味する「Gare(ガール)」を合わせた造語です。

駅前に広がる東京ドーム2つ分にも相当する町有地。何年も塩漬けにされ、雪捨て場として使われるような空き地を、当時の町長である藤原孝さん、地元出身の岡崎正信さんらが主導して現在の姿に大変身させた過程が書かれています。

PPP(Public Private Partnership)の手法を取り入れ、事業の計画段階から民間事業者が参加し、住民の意見を何度も聞き、施設だけが発展するのではなく地域全体を取り込んだ発展を目指しました。

その結果、現在は年間80万人が利用する総合施設になり、今年に入ってからもピラティススタジオがオープン、新たなテナント募集も始まっています。

盛岡から紫波中央まで車で34分、電車で19分なので盛岡とセットでまわれそうだし、一度行ってみたいです。

 

公共施設等の建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うことにより、民間の創意工夫等を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図るもの。指定管理者制度や包括的民間委託、PFI(Private Finance Initiative)など、様々な方式がある。(国土交通省HPの説明より)